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クリーニング企業大手が続々導入するコインランドリーの香りでの差別化
1975年の設立以来、約60種類のハンガーや衣類用クリップなどの豊富な自社ブランド製品をクリーニング業界に提供してきたマルソー産業㈱(北九州市門司区)。
その同社が、新たな事業として“香りの提案”をスタート。米国シアトルに本社を持つProlitec(プロリテック)社の芳香サービス「AirQ(エアキュー)」をクリーニング店やコインランドリー等に提案し、多数の導入実績を有する。
関東地方を中心に約160店舗を展開するクリーニング大手の㈱ユーゴー(本社・茨城県小美玉市)も、マルソーからの勧めにより2018年3月にAirQを導入。
同社の基幹ブランドは、お客様参加型の割引キャンペーンなど様々な企画で“日本一楽しいクリーニング店”を目指す『クリーニング専科』であるが、ファッション性と利便性をプラスし、店舗デザインにもこだわった『MIXMAX』ブランドを中心に、今では約30店舗でAirQが稼働。
見た目に加え嗅覚でも訴えることで、記憶に残す店舗のイメージ戦略に役立てている。
その1つが『MIXMAX WHITE&コインランドリーTOOLS千葉末広店』(千葉市中央区)。ここはクリーニングとコインの併設店で、採用したのは明るさやリフレッシュ、清潔感を表現した「フレッシュクリーン」。香りには好みがあるのでお客の反応が気になるが、「『いい香りね、市販されていないの?』と何度か聞かれたことはあるが、マイナスの声はない」と同社の猪俣悠太郎氏。
さらに、お客自らタグ(洋服の名札)をつけたり、仕上がった品物を保管場所から自分で取り出す『てつだって ! 卸町店』(茨城県土浦市)など、クリーニング専科の一部でも採用されている。
同店には陳列されている古着の中に気に入ったものがあれば、クリーニング代だけで古着が購入できる『オサガリ専科』を併設。全てクリーニング済みなのだが、「クリーニングはキレイにするところであり、“古着=汚い”というイメージを持たれないようAirQを活用している」と同社の門井正吾氏。
MIXMAXとは狙いが異なるため、こちらでは洗濯したてのリネンの香りのイメージの「フレッシュコットン」をチョイス。店の雰囲気によって香りを選べるのは大きなメリットと言えよう。
一方、2017年の春からAirQを取り入れているのが、『ピュアクリーニング』を運営する㈱ホワイトウイングス(本社・静岡県清水市)。同社ではコインランドリー併設店も多数展開しており、「香りで他店と差別化ができないか」と考えた松浦卓常務がホームセンターでディフューザー(拡散装置)を3台購入して店舗に設置してみたところ、香りが店内に行き渡らないことに加え、毎日水を入れなければならないなど、手間もかかる。
そのために別な方法を探している時、あるペットショップに入ると「ペットショップ特有の臭い」がしなかったそうだ。実はそのペットショップで使用されていたのが、ハンガーを仕入れているマルソーから提案されたAirQだった。ちなみにAirQは高さ3.5mまでなら1台で120㎡(35坪)まで対応できる。
今ではコイン併設店を中心に、約30店舗で導入。「自宅でも使ってみたい」とお客から言われることがあるほか、AirQが入っていない店舗のスタッフから「ウチの店にも入れてほしい」との要望も少なくないそうだ。
松浦常務は「いつも利用しているクリーニング店の屋号を覚えているお客様は意外に少ないものだが、接客と香りは記憶に残る。狙い通り、AirQは差別化に役立っている」と高く評価している。
なお、今回マルソーのユーザーとして登場した両社の代表は、展示会初日の9月12日に「新しい価値を創造するクリーニング店」としてセミナーで講師を務めることが決まっている。AirQは、業界でも注目されている業者が、いち早く導入したアイテムであり、今後さらにクリーニングやコインの間で広がっていくことが予想される。
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