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晴天時の収益確保の手段で洗車機を選択 天候に左右されないランドリーのビジネスモデルを実践
一般的にコインランドリーは、雨天が続くと乾燥機の利用率上昇に伴い売上が高くなるため、梅雨は「繁忙期」と言われている。一方、晴天の日が続く夏場などは「売上が落ち込む」と話すオーナーも少なくない。
共働き世帯や高齢者の増加などにより、コインランドリーの利用ニーズは年々高まっているが、まだまだ晴天時の収益をいかにして確保するかは、オーナーにとっての大きな課題だ。
そんな晴天時の収益確保の手段は様々あるが、ここ2〜3年、広めの駐車スペースを持つコインランドリーの敷地内に自動洗車機を併設するオーナーが増えている。
国内シェアトップクラスの洗車機メーカーである㈱ダイフクの販売・サービスを行っている㈱ダイフクプラスモア(本社・東京都港区)でも、コインランドリーオーナーによる洗車機の購入が進んでおり、2017年6月にオープンした福島県白河市の「エコランドリーエム桜岡前店」もダイフクの洗車機を併設している店舗のひとつだ。
同店は白河市に本社を置き、鋼構造物の製作などを手掛けている㈱エムテックの室政栄社長と室あけみ取締役が運営しており、洗車機のほか、カフェ、美容院、岩盤浴施設、トリミングサロンなども併設された複合施設(「ディアコートエム」という)となっている。桜岡前店はエムテックの運営するコインランドリーとしては2店舗目で、最初の店舗は同店から車で5分ほどの距離にある久田野前田店。こちらは洗車機ではなく貸ガレージを併設したコインランドリーとなっている。
室政栄社長(左)と室あけみ取締役
桜岡前店を複合施設にした理由は「幹線道路沿いで、久田野前田よりも広い土地なので、色んなものを揃えて、若い人達や子どもを連れた家族などに来てもらえるような場を作りたかった」と室社長。コインランドリー以外に何をやろうか考えた時に真っ先に思い浮かんだのがセルフ洗車場だったというのは車が好きな室社長らしいと感じた。
ダイフクの洗車機を導入。その理由は?
「良いものを取り入れる」がモットーの室社長。どのメーカーの洗車機を購入しようかとガソリンスタンド経営の知り合いに話を聞いた末、洗車機投入前に高圧水やきめ細かい泡を降り注ぐことで来客の誘因効果を高める独自技術『泡洗車システム』が「よそでは見たことない。新しいものでないと、若い人は使わない」(室社長)として、ダイフクの自動洗車機を導入することにした。さらに、手洗い式のスプレー洗車機も「人によっては機械ではなく手洗いしたい人もいると思うから」と、採り入れた。
当初はコインランドリーの横に洗車機を置いて、果たして本当に使ってもらえるのだろうかという不安もあったが、徐々に利用されることが多くなってきたという。その要因は洗車機の存在が知られるにつれて、SUVなどの車高が高い車を手洗いすると1時間ほどかかることから元々ガソリンスタンドの洗車機を利用していた人が桜岡前店で車を洗うようになった。加えて、「最近は昔よりピカピカの状態で走っている車が多い。洗車への意識が変わってきたのかも」と室社長は話していた。また、「徐々にだがセルフ洗車場の売上は上がり続けている」という。
室社長は「さらに洗車機の認知度を高めていけたら」としつつ、「洗車機もカフェも美容院も、そしてコインランドリーも、それぞれが少しずつでも利益を出してくれれば」と話す。一方で、利益を出すことも大事だが、「ディアコートエム」が地域にとって必要な存在になることを何より願っているのだ。
雨の日はコインランドリー。晴れの日は洗車機
最後にコインランドリーと併設することの相乗効果だが、室取締役によると、同時利用はまだ多くはないという。だが、晴天時にはコインランドリーの売上がやや下がる反面、洗車機の売上は上がることから、「相互補完はある」と話していた。
雨が続いた2019年7月には、コインランドリーが連日フル稼働となっていた中、ある一日だけ晴天となった日にコインランドリーの利用がパタッと止まったことがあったが一方で、連日の雨で洗うことができなかったためか、洗車機の利用が急増、という出来事もあったそうだ。
コインランドリーの利用客は女性が中心だが、洗車機の利用客は男性中心のため、男女問わずディアコートエムの存在をアピールできるのも大きいだろう。室社長は今後も桜岡前店と同じく洗車機やコインランドリーを採り入れた複合施設を増やし、地元・白河市の街づくりに貢献していきたいとの展望を述べていた。
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