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電気代削減、着眼点は「基本料金」年間20万円削減事例も

電力会社は軒並み使用料金を値上げ 上げ止まらない燃料調整額

2021年以降、電気代の値上がりが止まらない。根幹にあるのは2011年の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の後、54基あった国内の原発が一度全て運転を停止したこと。それまで日本で使用する電力の30%前後を賄っていたが、不信感や不安感から地元住民の原発に対する認識は大きく変わった。

事故後に発足した原子力規制委員会が新しい基準を策定したものの、それに基づいて再稼働された原発は2022年6月現在、6発電所の10基のみ。

このような国内のエネルギー事情に追い打ちをかけたのが、液化天然ガスなどの資源価格の高騰や急激な円安。特に天然ガスは主要な供給国であるロシアによるウクライナ侵攻の長期化なども影響している。

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燃料費調整単価の推移。2021年12月から2022年12月までに1kWh当たり13.01円もの値上げとなっている

◆2022年 電力会社の動きと燃料費調整単価

エネルギーの高騰により、各電力会社の新規受付停止、供給停止、事業撤退が相次いだ。高圧受電の事業所では電力の供給をする電力会社がみつからず「電力難民」という言葉がニュースを騒がせる事にもなった。低圧受電の事業所でも、独自の電力調達調整費を採用している新電力会社と契約しており、電気の使用料金が1.5~2倍になってしまったという事業所も多く見受けられた。

燃料費調整単価の推移のグラフの通り、2021年12月の段階では1kWh当たり▲1.09円から2022年12月で11.92円と13.01円の値上げとなっている。コインランドリーでは、電灯・動力と2契約で3,000kWh以上使用している店舗も多く月間4万円ほど、電気料金が増えている事になる。

すでに東京電力が2023年春に法人向けの料金を値上げすることは、前号でお伝えしたが、北陸電力は11月30日、家庭向けを含む規制料金について、大手電力会社の中では最大となる平均45%の値上げを経済産業省に申請している。国の認可が必要な値上げは2015年の関西電力以来7年ぶり(これまでの値上げは「調整費」という名目の変動費で賄っていたため)。

◆まずは基本料金の見直しから

コインランドリーにとってもこの問題は大きいが、電気料金の中でも、上記のような情勢に影響される使用料金とは異なり、基本料金は契約容量によって決まるものであることから、まずは契約容量を見直して基本料金を削減したいところ。

製造・加工・運送・倉庫・集合住宅・マンション・医療機関・飲食業・介護施設・幼稚園など様々な業種において、契約容量を見直す方法の一つである「ブレーカーの切り替え」を行っている省電力コンサルタント事業の㈱マクロニクスには、電気料金の高騰が本格化した2022年春以降、コインランドリーオーナーからの相談件数が急増。前号では年間50万円の基本料金を削減した事例を紹介した。

◆多くの人が知らない電力会社との契約内容

同社によると、「電力会社との新規契約が全て『負荷設備契約』で交わされていることはあまり知られていない」。この契約は分かりやすく言うと、店舗に設置されているすべての洗濯機・乾燥機・エアコンなどの動力設備のモーター容量の合計によって電気基本料金が決まるというもの。

コンビニなど常に機械がフル回転している事業所向きかつ電力会社に有利な契約方法だというが、コインランドリーで一日中休む間もなく機械が回っていることはない。この時点でオーナーは損をしているということになる。

一方、もう一つの契約方法として「主開閉器契約」がある。設置されているブレーカーのサイズによって電流(A=アンペア)をキロワットに換算して電気基本料金が決まるというものだ。

ブレーカーのサイズは機械の稼働状況によって決まり、「機械の台数は多いものの同時に稼働することが少ない事業所には最適。

コインランドリーもそのパターンで、主開閉器契約に切り替えると基本料金が下がりやすい傾向にある」と同社。どのくらい下がるのかというと、主開閉器契約への切り替えと電子ブレーカー(後述)の設置で最大60%だそうだ。

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契約容量別の削減事例。年間210,000~230,000円を削減した店舗もある

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