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リネン工場の現場改善&生産管理術
需要変動における必要数量の把握と種類の対応
今までこの連載ではあえて時事ネタに触れずに、どんな時代にも共通する現場の改善ということにテーマを絞った内容をお伝えしてきました。しかしさすがにコロナ禍以降の世の中の変化について触れずにいられません。工場稼働は市場のニーズを前提としています。どんな商売も市場のニーズがなければ成り立ちません。こんなシンプルなことを嫌というほど教えてくれた今回のコロナ騒動でした。
しかし大半の現場では、仕事量が減ることよりも生産供給能力の不足ばかりを恐れてしまい、結果として設備投資過剰や人員過剰、また仕入れの過剰を招いています。量が減ることに対しての意識は極めて低いのが現状です。 それに対してトヨタ生産方式では仕事量は市場のニーズで増えもすれば減りもする、と考えています。むしろ減ったときにどうするかが非常に大切だといいます。ところが市場の必要数量が減ることを想定している経営者や管理者は非常に少ないのが実情です。
これは実際に筆者が食器生産工場の指導に入った時の話です。その工場は、国内でも大規模の生産能力が自慢で、日産10万個を生産する能力が売りでした。累計生産数が一億個という商品があったのも事実です。
しかしバブル崩壊以降の世の中は今に至るまでデフレ傾向、大量消費時代はとうに過ぎました。まず、陶器の問屋からの発注書を見せてもらうと、とんでもないことに気付きました。一種類ごとの発注量が一桁なのです。思わず「これは小売店からの発注伝票か」と訊いたぐらいです。しかしまぎれもなく問屋からの発注書でした。
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