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ローコスト高生産工場の作り方
逆風をチャンスに変えるために
配送システムの見直し
自動化が進んできた工場内への投資よりも、出荷口から、顧客を回って入荷口に戻る工場外のリネンの流れをしっかりと把握することが大切です。客先からの注文表に従い、無尽蔵にストック用リネンを出荷する体制の工場がいかに多いことか。顧客のリネン庫の把握ができていれば、リネンの数を適正に管理できます。
ブラックボックス化されている配送管理を、適正に行うことが重要です。工場の生産コストが変わらない現状では、コストの削減は、配送効率にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
配送費を全体コストの15%と仮定したとき、その2倍、3倍とかかっている顧客が、配送費全体のコストアップになっています。その理由を調べていくと、客先リネン庫の有無、エレベーターが複数ないとか館内のアクセスの悪さ、集配作業時間の長さが、客先滞在時間を延ばしてコスト上昇になり、精査すると往々に採算を割っている事実もあるからです。その赤字分は他の顧客の利益を削っているのです。
●高騰する燃料費の対策
再度の見直しを必要としているのは、高騰する燃料費の無駄をなくすことです。冬場だと工場から出ていくエネルギーは、湯気となって見えるため、なんとか無駄をなくそうと思うのですが、温かい時期に見えていなくても工場から出ていく熱量は同じです。
ボイラの発生する熱量を100とすると、ボイラ自身の効率や配管で失われていく熱量も1/3あるのです。熱を使う目的にボイラで蒸気を作っているのに、工場で乾燥や洗濯で使用する熱量は1/3しかありません。では残りの熱量はどこに消えていくのでしょう。
洗濯工程で使った熱量も、乾燥工程で使用した熱量も、それらが排水や排気として工場から捨てられているからです。それらの排熱を回収して再利用できれば、工場でのガスや重油の使用量は明らかに減ります。
従来の熱管理を何もしていない工場では、場合によっては1トンを処理するために使う重油が200Lを超える工場もありました。省エネの意識を持って管理されてきた最近の工場はトンあたり120Lぐらいになりました。しかし排熱回収を徹底した工場では、トンあたり80Lを下回るようになっています。その差は生産量1トンあたり40Lにもなります。1Lあたり100円とすれば、4,000円/トンになり、20トン工場だと80,000円/日にもなります。
月25日稼働で200万円/月、2,400万円/年、30日稼働なら240万円/月、2,880万円/年にもなります。 排熱回収装置にその金額を投資しても、1年間に元を取り、2年目からは、そのまま純利益になる大変重要な投資になります。投資対費用効果を考えると、まずは排熱回収に目を向けるべきだと考えます。
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