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「先が見えない春」どう動く?
一度は動き出すも再び点数減少
3月14日に全国で最も早く東京のソメイヨシノが開花し、今年の桜前線がスタート。東京が全国トップとなるのは3年ぶりのことで、昨年よりも7日、平年よりも12日早い開花となった。
業界では「今年は暖冬」との声が各方面から挙がっていたが、その言葉通りに桜の開花も進み、春分の日である3月20日から始まった3連休は全国的に気温が急上昇。「連休中はダウンやコートなどの重衣料がよく出た」というクリーニング業者の声が多かった。
しかし「待望のシーズンイン」を迎えたのも束の間、28・29日の週末は関東地方を中心に季節外れの降雪となり、東京では3月下旬以降としては32年ぶりの積雪となった。さらにこの週末は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏や大阪などで、各知事が「不要不急の外出自粛」を要請。
クリーニング店への客足が減少する要素がいくつも重なってしまった。
週明け(30日以降)も全国的に衣替えのムードは停滞。前号にてお伝えしたように、新型コロナウイルスへの対策として在宅勤務を行う企業が急増していることでビジネスウェアの点数も減少していることから「先が見えない」と不安を口にする業者は少なくなかった。2月〜3月にかけてセールが不振のところも目立っている。
しかし、1面でこのシーズンを「緊急事態の春」と形容したが、こんな時期だからこそ、「清潔な衣生活を支える」という、クリーニング業の基本・本質に立ち返りたい。今だからこそ、『着る前洗い』より『しまい洗い』。その重要性を、消費者に丁寧に説明していこう。
以下で主な店の声をお届けする。
2~3月のセール不振も目立つ
〈東京A店〉
20〜22日の連休はダウンやコートが集まり、「春らしい忙しさ」になった。しかし、28・29日は新型コロナウイルスの感染症対策による外出自粛要請と、雪の影響で2日間とも、ほぼお客が来なかった。週明けの30日以降もイマイチだ。ワイシャツやスーツも大幅に減っている。ビジネスウェアの点数減少の影響は先月より今月のほうが大きい。
〈東京B店〉
2月中にダウンのセール(①3月20〜22日と②28・29日の週末に実施)DMを送った。①は、そこそこ成果が出たが、②は全然ダメ。2月も3月も売上は前年割れ。
〈群馬A店〉
連休中は衣替えのお客が多かったが、それでも、前年より点数は少ない。暖冬の影響に、新型コロナウイルスも加わっているためだろう。本格的な春を迎えるには時間がかかりそう。
〈愛知A店〉
29日まで、毎年恒例の冬物5点縛りのセールを実施したが、昨年と比べ2割は売上が落ちている。今はセールの内容云々より、クリーニングの重要性を訴えていくことも大切なのかもしれない。
〈大阪A店〉
3連休中はダウンやコートが多く出た。3連休後の平日も、厚手の衣類が出てはいたものの、昨年と比べると多くはない。この春の動き方は、多くのイレギュラーな要素が重なっているため、例年との比較が難しく、今後どのように動いていこうか考えている。
〈京都A店〉
3月の売上は前年より2〜3割減。連休中はそれなりに出たが、連休以降はまだ昨年のような出方ではない。コインランドリーもやっているが、2月以降コインは1〜2割ほど売上が伸びている。