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春に行うセールの利益目標と手段は明確か?
クリーニング業界で常に議論されているのが「春の衣替えシーズンにおけるセールの是非」。旅行業界に代表されるように、多くのサービス業では「書き入れ時」と言われる時期に、需要の高まりを見据えて料金を高く設定する。しかし当業界では春になると各社があらゆる方法で値引き、割引を実施し、オーソドックスな集客手法として定着している。
「一年で最もお客様が来る時期になぜ値下げをするのか」という意見も挙がる中、ここ数年は、需要の落ち込みや原材料費、人件費、光熱費などの高騰により、「春のセールはやめた」という会社も出始めているが、依然として多くの会社が春の販促に関してディスカウントを前提に企画を行っている。
11日に都内で開催された全国クリーニング協議会(略称・全協)の新年会では、この議論について「昔から脱却できない問題として、シーズン期における必要以上のセールや値引きがある。他の業界ではほぼ見ない光景。周囲の環境が変わっている中、いつまでも続けていてはダメなように思う。どう行動することが正しいのか」という質問を髙木健志会長が投じた。
回答を行ったのは、記念講演で講師を務めたクリーニング業のほか様々なサービス業の経営サポートに取り組んでいるコンサルタントの菅俊介氏(㈱ウインドプラス)。菅氏の回答を以下に要約した。
結論から述べると、春にセールを行うことは決して悪いことではありません。セールを実施して儲かるか儲からないか、労働条件がおかしなことになっていないか、皆様の会社はどうでしょうか。セールを行うとどのようなプラスがあるのかを考えていますか。
クリーニング業界では本来手段であるはずのセールが目的化されているケースが多く見受けられます。しかし、まず利益目標を立て、それがセールを実施して達成できるのかどうか、点数が集まった時に決められた労働時間内に処理することができ、そして品質が下がらずクレームも出ず、その結果お客様から感謝され、そして利益が増え、スタッフの給料も増えるのかどうかといったことを考え、「上手くいくなら実施する、上手くいかないなら実施しない」という手順を踏むことが何より大切です。
その中で、人時生産性(時間生産性)という考え方は大きな判断材料となります。最終的には、「どのような経営を目指していきたいのか」という理念に関わっていきます。そもそもセールというのは、通常よりも低い価値でサービスを提供することであって、普段から定価で利用している方に対しては損をさせているとも取れます。
すなわち目的と手段が明確であり、それを達成できる条件が揃っていれば、春に行うセールは重要な販促の一つとなるわけだ。
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