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実践者が語る!クリーニング+コインランドリーの優位性
90%は立地が左右する
2店舗目で気付いたコインランドリー成功の鍵
武蔵中原店でクリーニング+コインランドリー手応えを感じ、即2店舗目の出店へ。今度は既存店のリニューアルではなく、新たな物件でのオープンを考えて、再びアスファクトに依頼した。
武蔵中原店から車で5分ほどの距離に位置する幹線道路沿いのテナントに決まり、こちらは同じ南武線でも武蔵新城駅に近い場所になる。「エニウォッシュ武蔵新城店」として2022年10月にコインランドリーを先行してオープン、クリーニングコーナーは2023年4月から営業を開始。事業再構築補助金の活用は一企業で一回まで(当時)だったため、今度は金融機関の融資に頼る必要があったが、武蔵中原店の売上推移や将来性を評価され、資金調達に成功した。この経験から経営者の資質は投資能力と資金調達力だと髙瀨社長は言う。
クリーニングコーナーの営業が始まった2023年4月以降の2店舗の売上を比較すると、より好調なのは武蔵新城店だ。しかし、武蔵中原店よりも狭く、コインランドリーは乾燥機が3台少ない。人通りも、武蔵中原店の方が「1000倍いい!」と髙瀨社長は話す。
それでも武蔵新城店のほうが売上が良い理由は、駐車がしやすく、片側4車線の交通量の多さがありながら、信号機の間隔が短くてスピードを出しにくいので店を視認しやすく、周辺地域に住む人たちへの浸透が早かったのでは、と分析していた。2店舗を開業して、「コインランドリーに関しては90%が立地勝負だと分かった。いかに良い場所に出せるか」と髙瀨社長。
アスファクトでも、こうした要素だけでなく、世帯密集度やコインランドリーを頻繁に使う可能性が高い若い単身世帯がどの程度暮らしているかなど、様々な角度から調査を実施し、出店の判断を行っている。同社のマーケティングリサーチには、非常に高い信頼を寄せているそうだ。
クリーニング+コインランドリーは「洗濯コンビニ®」のコンテンツの一つに過ぎない。しかし実際に2店舗の売上も見せてもらい、まずはこの2事業のコラボレーションを深化させることが、ドライ品だけでなく家庭洗濯品も含め、洗えるもの全てを取り込むための出発地点だと取材を通じて感じた。
現状を受け止め対応するのが経営者の在り方
髙瀨社長、カジュアル衣類を取り込むという考えは10年以上前から持っていて、洗濯代行も12年前から始めていた。
しかし、これがなかなか売れない…。認知されていないのか、料金が高いのか。無料キャンペーンとしてタダでランドリーバッグを配布しても「全く出なかった」と苦境を振り返る。
転機となったのは、「洗濯コンビニ®」として店をリニューアルし、ロッカーを導入してから。徐々にロッカーを経由して洗濯代行が利用されるようになり、現在は武蔵中原店の売上全体の10%を構成して下支えする事業になりつつあるという。
なぜ今まで利用されなかったサービスが利用され始めて来たのか。これは単純に、「店員と顔を合わせずに済むようになったからでは」と考えているそうだ。
洗濯代行では、当然ながら肌着や下着も出てくるわけだが、そういったアイテムを出す際に店員に顔が割れてしまうことは誰だって気まずいもの。ロッカーを利用すれば、非対面で済ませることができるし、もっと言えば宅配を利用することで、顔が割れる可能性は全くなくなる(同店の宅配は、提携先の配送業者が行うため)。洗濯代行成功の秘訣は非対面にあり、と髙瀨社長は言う。
ドライ品が減っている現状。消費者がクリーニング屋に対して求めていることは一体何なのか。状況を冷静に受け止め、求められていることに対応することができれば、「この商売(クリーニング業)には夢がある」と瀨社長は話す。ドライクリーニングで発展してきたクリーニング業界にとっては厳しいことなのかもしれないが、このままではダメだと感じて改革を行う姿が心強い。
後継者育成コース開設
クリーニング&コインランドリー事業を任されているのは、髙瀨社長の長男・力(りき)さん。2年前に同社に入り、転換期の瀨ホールディングスを、父と共に支えている。昨年は結婚という人生における大きな決断もして、仕事に対する覚悟も一層増すばかりだ。
力さんだけでなく、「この業界に欠けているのはアグレッシブな若い世代の力。やってみたいと思える商売と感じてもらえれば状況は変わるのでは」と髙瀨社長。
そこで同社は、クリーニング店後継者・研修生を募集している。現在は2名の他クリーニング店後継者が研修に励んでおり、クリーニング+コインランドリーの経営ノウハウを始め、シミ抜き修復師などの技術面も研修している。問い合わせはTEL.090-8819-9298まで。
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