- 最終更新日:
〔スペシャル対談〕第4弾 業界一熱い!高柳氏&本紙社長・関が忌憚なくクリーニング業界にメスを入れる‼
コロナ禍以前からすでに危機的状況にあったといわれるクリーニング業界。今すべきことをしないと取り返しがつかなくなる、と今後を見据えて警鐘を鳴らす両氏が語る内容は耳に心地良いはずはない。しかし、じっくりと読んでいただき、そして少しでもできることをはじめるきっかけの一助となれば、と願っている。
聞き手 リフォームは技術が難しく習得できない人も多いと聞きます。
高柳 1回の講習で技術まで習得するのはハードルが高いです。器用な人はメニュー化できますが、ほぼ無理です。何回も通って成功された方もいますが10%ないです。
関 講習を受けてメニュー化できる会社は中堅~大手クラスでしょうか。自前で技術を習得するのは、大変でしょう。
クリーニング業界のポジション
高柳 レッツリフォームのやり方は修理なので、受付でしている「ボタンが取れていますよ」などをメニュー化しましょう、とハードルを下げたものです。今回、まず言いたいのは、クリーニング業界のポジショニングです。私は洋服の仕立てからリフォーム屋、トータルファッションメンテナンスと3つの業界にいて、淘汰されてきた過程も見ています。
関 このままだとクリーニング業界は淘汰される可能性は高いでしょうか?
高柳 コロナ禍以前から相当やばかったですから。コロナ禍になって補助金や助成金、借入優遇など出て、新聞でも記事にされていましたよね。
関 でもあれは延命措置でしかないので。
高柳 全国を回っていて、今は利益を出している経営者は約20人に1人、約5%と感じます。でも、これで補助金がなかったら1%ほどで、業界的にはアウトでしょう。だからコロナ禍によって生かされたな、って思います。
関 クリーニング店はコロナ禍で何も恩恵がなかったと言われています。
高柳 それは間違いで、コロナ禍があったお陰で生き延びているのに自覚や謙虚さがない。なにをのんびりしているの、って思います。
チャレンジのハードル
関 私もビジネスチャンスがありそうだなって思うと、まず自分でやってみる。勘どころが働く。クリーニング店はそのスイッチがなぜ入らないのだろうか。チャレンジ精神が薄いというか。
高柳 自分とギャップを感じると絶対にやらない。ちょっとハードルが高い、自分とは違う、とか。後はお金がかかりそうな時(笑)。そうなるとやらない。「すぐできそう」までハードルを下げないとダメです。それに今は守り態勢ですね。
関 守るものって、何があるんでしょうね。
高柳 お金を無駄にしたくないんでしょう。
関 商売は投資をしてそれを回収して儲けるのが基本ですけど。
高柳 10年以上前はまだある程度ゆとりがあったので講習会とかも多かったんですよね。
関 ゼロイチ(新しい物やサービス、価値を生み出すこと)ができない人たちばかりでしょうか。あるものを伸ばすとか、あるもので何とかしたい、とか。ゼロからは無理なのかな?
靴は「特殊品」?
高柳 今までのメニューから、例えば布団やカーテン、ぬいぐるみを洗おうとは動けても、それでは大きな売上が見込めない。でも「お直し」っていうのは需要があります。衣類は全部が消耗品だから。でもできる人がいないので、ブルーオーシャン(競合が居ず一人勝ちの状態のこと)です。それでもハードルが高いのなら靴を先にすれば良いです。
関 靴すらやらない理由っていうのは?
高柳 靴には品質表示がないんです。何でできているか、どう扱えばよいかわからない。またメーカー保証がない。
関 以前、靴を分解したら底から新聞紙が出てきたって(笑)。
高柳 それは鞄ですよ(笑)。まず、扱ったことのないものに対する恐怖心がある。靴は誰でも履いているし、汚れている。衣類とは別物、という意識から「特殊品」っていうワードが出たらダメだなって思います。
関 そうですね、特殊品っていう言い方はちょっと。リネンを「数物」とかも。
高柳 そういう意識では本気になれない。うちでは、靴はスーツと同じランク付けです。売上の20%以上の所はうち以外見たことない。でも確実に行くと思っています。
関 要は本気度ですよね。
高柳 そのノウハウはすでに完成して「いつでもどうぞ」という状態です。だから講習会や、今はオンラインでアカデミーもしていますが、それでもまだ恐怖心やトラウマがあるみたいですね。
関 アカデミーの詰め込み1か月コースみたいな感じで、集中的に職人養成。人材を派遣すれば(笑)。人までパッケージになっていたら乗ってくれると思います。
高柳 そこまでやるとね(笑)。今、オンラインでお直しと靴・鞄のリフォーマーコース作ったんですけど、参加してもらっている方はだいたい成功されています。でもやはりネックは販促です。靴はどうしても別物という意識が働くんです。
関 昔「靴まで洗いたくねぇよ」って言っている店主がいましたが、「靴まで洗わせてもらえる」って思わないのかなーと疑問に感じました。でも本音でしょう。
高柳 靴が一番汚れていますから。でも、それを言ったら商売にならない。汚れているものを見たら喜ばないといけないのに(笑)。靴は「一番の宝の山」という意識です。
関 お客が自分でやりたくないものを、お金をもらって仕事にするっていう話はチャンスなのにね。
キレイにしたいニーズ
高柳 「レザークリーンムース」という泡で靴を拭くものがあって。これをクリーニング店で扱ってもらおうと作りましたが、ク業界ではほとんど売れず。今はカミナガ(カミナガ販売㈱)にノウハウを提供して市販してもらっています。なんと1年間で2万本に達する勢いです。
関 これでビルが建ちますね(笑)。
高柳 こんなに売れるとは(笑)。カミナガさん曰く、キャッチコピーが「これはプロが使っている、クリーニング業界で一番売れている洗剤を使っている商品です」って。
関 マーケティングで「クリーニング店で使っている」と言うと瞬く間に売れるって言いますよね。
高柳 これ1個1980円ですけど、今は靴修理チェーンでも大量にオリジナルで作っています。こんなに売れるのは、靴をきれいにしたいという証拠です。500円スニーカークリーニングはヒットしましたが、止まった原因は事故が多いから。成功している店も「ノークレーム」で受けている。でも剝がれるし、トラブルは多いと思います。
関 仕方ないですよね、水洗機で洗うから、どうしても剥がれたりします。
高柳 500円だけど、お客はガッカリしちゃう。個人店は靴1足で信用をなくすことはできない。
関 劣化しているっていう認識がお客にはないから、剥がれて返ってきたらショックですよね。でも否定している訳じゃないんですよね。
高柳 その需要の掘り起こしは良いと思います。ただ、次のメニュー(手洗いなどの高価格帯など)を作っておかないとダメだと思います。
関 ホールセールさんは手洗いですしね。
高柳 少しでも違うものは即ホールセールです。それで成長するはずがないですよね。やはり自社で手掛けるメニューがなくては。先人が努力して作り上げてきた今のクリーニング業界ですが、それに比べたら今は勉強していないし、投資していない。それでは成功できない。だから1年で自社メニューを作るという意識を持って、時間もお金もかけて勉強すれば必ず成功するっていう確信があります。
この記事は、有料会員限定です
- 有料会員登録すると、全ての限定記事が閲覧できます。
- この記事のみ購入してお読みいただくことも可能です。
- 記事価格: 300円(税込)