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厚労省、労働安全衛生法し熱中症対策を義務化

罰則付で6月1日施行

厚生労働省は4月15日、職場における熱中症対策について、罰則付きで事業者の義務とする改正省令を公布し、6月1日より施行する。

地球温暖化の影響により年々、猛暑が厳しくなり、職場での熱中症による死亡災害は令和4年から3年連続で30人を超えている。機械からの放熱や蒸気により作業場が高温となるクリーニング・リネンサプライ業界でも暑さ対策は急務となっている。

厚生労働省の死亡事例分析では現場での発見の遅れ、異常時の対応の不備が目立ったとして、重篤化防止に向けて熱中症対策を義務化するに至った。

対策義務は、暑さ指数(WBGT)28以上または気温31℃以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間を超える作業が対象となる。

事業者が対策を怠った場合、労働安全衛生法22条違反として6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性がある。

労働現場における熱中症対策の具体的措置として、現行は塩・飲料水の備え付けなどを求めているが、今回の改正では新たに、以下の対策が義務付けられる。

(1)熱中症の自覚症状や疑いのある人がいた場合、報告するための連絡先や担当者を事業所ごとに定める

(2)作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じた医師の処置や診察など症状の悪化防止に必要な内容や手順を事業所ごとに定める

(3)対策の内容を労働者に周知する

また、こうした措置とともに、作業場の暑さを抑えるための対策も行っておきたい。

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熱中症具体的措置の例(厚生労働省・安全衛生分科会資料より)

 ◆熱中症クールワークキャンペーン

厚生労働省では、職場における熱中症予防対策を徹底するため、労働災害防止団体などと連携し、5月から9月まで、「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」を実施する。

キャンペーンでは、事業場への熱中症予防に関する周知・啓発を行うほか、熱中症に関する資料やオンライン講習動画等を掲載しているポータルサイトを運営。

また、周知、啓発に当たっては、近年死亡者数が1年間で30人程度の状況が続いているため、暑さ指数の把握とその値に応じた熱中症予防対策を適切に実施すること、熱中症のおそれのある労働者を早期に見つけ、身体冷却や医療機関への搬送等適切な措置ができるための体制整備等を行うこと、糖尿病、高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有する労働者に対して、医師等の意見を踏まえた配慮を行うことについて重点的に呼びかけている。

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キャンペーンのリーフレットは、日本語のほか英語、タガログ語、ベトナム語など多言語を用意。厚生労働省HPよりダウンロードできる



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