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伊藤良哉の現場探訪
管理を後回し→作業が増える 判断と対処が発生、全てコストに
新型コロナで明け暮れた2020年、年が改まっても勢いが収まるどころか、首都圏のみであった緊急事態宣言も全国主要都市に拡大である。また、近年暖冬が続いていたがこの冬は厳冬である。業界的には春の需要喚起として喜ばしいのだが、そんな折りも折り、今度は北陸を中心にしたゲリラ豪雪。心穏やかならぬ年明けである。
こういうご時世なので筆者自身現場を回ることもはばかられ、ネットを中心とした情報交換が日常となっており、もどかしい日々である。聞くと見るとは大違いなのが現場だからだ。
例えば現場の管理状態。閑散期で作業に余裕があるからといって現場に目が行き届くかといえばさにあらず、5Sで整理・整頓し置き場を作ったり表示をしても、放っておけば崩れるのが現場のルールである。
ちなみにいわゆる「仕事」には大きく分けて実務作業、維持管理作業、判断、異常対処がある。実務作業とはお店なら受付・接客、工場なら洗浄や仕上げなどに関わる作業だ。この作業は直接的な付加価値つまり利益を生む作業であり、生産性の善し悪しで利益に大きく差が出る部分である。
次に維持管理作業。実務作業のように直接的な付加価値は産まないが、実務作業の付加価値を大きくするために欠かせない重要な作業である。
たとえば資材の欠品を起こさない、必要以上にムダな購入をしない(資材管理)、機械が止まらないように定期的なチェックやメンテをする(機械設備の維持管理)、人員の過不足が生じないようにする(シフト管理)、クレーム対策を施し不良率を下げる(品質管理)などがこれにあたる。
これらは現場の作業者の生産性に大きく関わる部分だが、どうしても仕事と言えば実務作業が中心となり、管理は後回しになる。そうなると発生するのが判断と対処である。判断とは作業を進める上でどうしたらいいか考えること、あるいは迷いが生じた時に次善策を考えることであり、対処とは問題が起きた時に対策を立てることだ。
やっかいなのがこの判断と対処をする人間ほど何か立派なことをしている気分にさせてしまうことである。もちろん判断と対処は必要である。しかし、ことと場合による。例えばパートさんレベルで起きる判断は単に教えていない、あるいはルールが決まっていないだけのことだったりする。
一例を挙げよう。レジを前にして打つべきアイテムが何か分らず悩む。悩むというのは判断に悩んでいるわけである。しかしいくら判断に悩んでも答えが出ない。そこでベテランさんなり店長に相談する。すると、こういう場合はこうしてああして、と指示を受けてようやくレジを打つ。その時の指示というのは対処であって教育ではない。
というように判断が発生すると、必ずそこに対処が産まれる。そして問題は、これらは全部コストであるということだ。管理が重要なのはまさにここにある(つづく)。
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