- 最終更新日:
売上アップスーパーレポート
2017年クリーニング業界の時流予測《前編》
異業種に進出する会社が増える!?
02 スタッフ募集難は、一時的に緩む
「募集広告を出しても人が集まらない」という「人材不足」の大きなトレンドは少なくともあと4年間、東京オリンピック開催までは続きます。スタッフ募集に関しては、小さな景気の上下により一時的に緩むことはあります。
そのとき、求人はしやすくなりますが、どのような「給与」を掲載しているかによって募集数に差が生まれます。普段から経営体力を蓄えておく必要があります。
また、求人広告にも「差別化戦略」が求められます。他社と同じような内容ではもはや人が集まりません。「外国人にターゲットを絞った求人広告」や「工場の無料ドリンクサービスを売りにした求人広告」「店舗スタッフの面白いメリットを打ち出した求人広告」など、思い切った広告で求人競争を勝ち抜いている会社があります。
03 廃業や買収・転業が、さらに増える
2016年は、予想通り「時代についていけない」と「経営をあきらめた会社」の廃業や買収が多数ありました。このような決断をする会社は今後も増えると思われます。
・ここ10年間、店舗の改装を実施していない直営店。
・時給が、最低賃金と同等クラス。
・スタッフが、老朽化した店舗と同じイメージ。
・工場への設備投資をしていない。過去の投資が的外れで、負の遺産の原因。
このようなクリーニング会社はこの方向に流れます。要チェックです。近隣でこのような会社や店が出た場合には、即、対処できる体制を整えておく準備をしておきましょう。
年間700万円の売上・家賃10万円だった店舗を譲り受け、当社のご支援先が、改装しリニューアル・オープンさせたら、年間2,000万円の売上になっている…という例もあります。
また、積極的な姿勢で、異業種に進出する会社も増えます。
04 空きテナントは再び増える
「人件費高騰」や「人材不足」「消費増税による客数ダウン」に苦しんでいるのは、クリーニング業界だけではありません。
「人件費は10%増えている。募集費は昨年の2倍。シフトが埋まらない。店舗は赤字なのに、消費税だけはこれまでの1.5倍払わなければならない」このような状況に嫌気が差している他業種の「個人経営店」や「全国チェーン」は、不採算店からの撤退を決めてゆきます。日本全体としては不景気ではない傾向なのに、一部地域での空き店舗は増加します。
エリア進出してゆきたい会社にとっては出店のチャンスです。リニューアル希望の店舗にとっては近隣への移転のチャンスでもあります。
05 ネット通販市場はまだ拡大も
ネットを活用した「クリーニング通販」は、市場全体としてはまだまだ伸びを見せます。
実際の市場に対する、ネット取引の割合を示す指標「EC化率」は全業種平均で約4.7%。
クリーニング市場を仮に年間3,800億円とすれば、クリーニングのネット通販の市場は、その4.7%分、約180億円まで成長する可能性を秘めています。参入業者が180社とすれば、平均1企業1億円の売上。今後はさらに参入業者も多くなり、「市場規模÷店舗数」であらわされる「1店舗当たり年商規模」は5年以内に下がり始めます。
勝ち残るのは、この2つのパターン。
・「特色」が、他社と比べて明確な出店者。
・市場が伸びていた時代に「顧客をキープできていて、リピーター売上が半分以上を占める」出店者。
そして、参入してくる会社はこのような会社です。
①人口減少が続き、実際の店舗売上が厳しくなってきた地方都市のクリーニング店。
②一大市場である東京への物流費が安く、地の利を活かせるクリーニング店。
③ネット通販で儲けている会社の近隣のライバル会社が、それを間近で見て真似して参入してくるケース。
先行してネット通販を実施して、売上が大きく、機を見るに敏なネット通販会社は、あまりにも競争が激しくなる前に、事業そのものを高値がつくうちに売却することもあるでしょう。
06 サプライヤー・一強体制への入口
前述の01〜03のようなことが起これば、サプライヤー(供給者)つまり、資材や機械、レジ、備品等々をクリーニング店に納入している会社が減り、強い会社だけが生き残ります。
強くクレバーな会社は、同業者を買収して大きくなっていきます。その結果、1社だけが突出して強い「1強体制」となるサプライヤー領域が出てくるでしょう。「当社の商品を値上げします」と言われても、それに代わる「まともな」業者がいなくなっているわけですから、言われるままの価格で納品してもらうしかありません。早ければ、2020年までにこのような現象が起こるかもしれません。