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職人よ、商魂を抱け

お客様は「何を希望」されているか、会話でうまく引き出すことが大切

なをし屋代表

栗田裕史

年が明けて春になるまではクリーニング店さんは衣替えの繁忙期を前に比較的静かな商いだそうですが、皆さんはいかがでしょうか?これは自戒も込めての話ですが、繁忙期であれば作業に集中するのに、閑散期には気が急かないせいか、何となくまったりと作業を進めてしまうというのはよくあることかと思います。

閑散期の時間の余裕を利用して、お客さんを迎え入れる店舗や大切なお品物をお預かりする工場の、清掃や整理整頓などを行いたいものですね。

さて、今回は以前にもお話したことがありますが、着物をお預かりする際に、どのような受付をすればクレームやトラブルになりにくいか?などの、特殊品を受注する際のポイントをお話させて頂きたいと思います。

以前テレビか何かで、クリーニングはクレームが多い業界だという話がなされていました。中には言いがかりのようなこともあるようですが、基本的にクレームというのはお預かり時にお客様との意思疎通がうまくいってないことが大きな原因ではないかと思います。

私は正確には皆さんと同じクリーニング業ではありませんので、お客様からクリーニング店さんへの不満などをお聞きすることも度々あるのですが、その多くは、クリーニング店さんが受付した際にお客様が誤解している部分が大きいように感じます。

当店は染み抜きだけでなく着物のクリーニングも承っておりまして、サイトを観てお申し込みやご相談をいただくお客様が多くいらっしゃいます。その時お客様が最初に言われる言葉の多くに「着物のクリーニングをお願いします」もしくは、「着物を洗って欲しい」というものがあります。皆さんはクリーニング店さんですから、クリーニングして欲しいとか洗って欲しいと言われたら、クリーニングをしてお客様に返すと思います。もちろん、それは間違いではありません。

ただ、繰り返しになりますが、お客様は単に着物を洗って欲しいのではなく、着物を綺麗にして欲しい、そしてそのためにクリーニングをして欲しいと仰っているのです。

ですので、お客様が着物をクリーニングして欲しいと仰ったとしても、その言葉のままに単なるクリーニングだけで承ってしまうと、こちらは料金の通りに作業をしても、お客様の期待値とのギャップにより、クレームや不満へと繋がってしまうのです。それに商いの面で見れば、提案してより多くの料金を頂く機会をみすみす逃しているとも言えます。

お客様からご相談・ご依頼があった場合は、まずはお客様の希望することは、どのような心配や悩み事を解決することであるか?ということを、会話の中でうまく引き出さなくてはなりません。このことは、後々のクレームなどを防ぐためにも絶対に必要な作業です。クリーニング店さんは数をこなしてこそのビジネススタイルでもありますから、そのようなことにあまり時間をかけられないということはあるかと思います。

ですが、着物のような特殊品の場合、ある意味受付や見積もりが仕事の重要な部分の大半を占めると言っても過言ではありませんから、その場で無理でも、お預かりした後にご連絡をするなどの方法で、お客様の希望とのギャップを埋めることを心がけてください。  では、当店が実際にご相談などをいただいた際に、お客様にどのようにお話を聞いているか、簡単にシミュレーションしてみます。

お客様が着物をクリーニングして欲しいと仰ったとします。すると私は必ず「失礼ですが、お着物はシミなどございますか?」とお尋ねします。そこでお客様がシミはないと仰ったら、「では、クリーニングで承らせていただきますが、こちらで詳しく拝見させていただきますので、シミなどがあった場合はご連絡させていただきます。」と返答します。

このやり取りのポイントは、お客様が無いと思っているシミでも実際に見るとある場合も多く、クリーニングのみでお返しするとそのシミが最初からあったか無かったかでお客様との意見の相違に発展することがありますので、それを防ぐ予防線になります。シミを確認後にお見積りをご提案して、それでもお客様がクリーニングだけで良いと仰れば、お渡し後のクレームに繋がる可能性はぐっと低くなります。

話を戻して、お客様が「シミがある」と仰った場合は、どのようなシミであるか・どのあたりにあるかなどをお客様にヒアリングします。出来れば、その内容はメモしておいた方が良いでしょう。実際に着物をお預かりした際にお客様が認識しているシミを見落とすことがありませんし、例え他の場所に少し見落としたシミがあったとしても、クレームに繋がりにくくなります。

色々書きましたが、やはり一番のポイントは、お客様の話を引き出してよく聞き納得していただくことだと思います。 

皆さんのお店で染み抜き実演をして集客及び染み抜き品の受注をしたい方がおられましたら、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

出張にあたっては、お願いしたい条件などもございますので、詳しくはこちらより当店のページをご覧ください。

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この記事の著者

栗田裕史

なをし屋代表

なをし屋代表・染色補正師


【国家認定・一級染色補正技能士】

【国家認定・京友禅(仕上げ部門)伝統工芸士】

【国家資格・クリーニング師】


京都の着物お手入れ専門店二代目として生まれ、BtoBのみの業態から、ネットでの集客を中心にBtoCも行う新規事業である、着物クリーニング・染み抜き・染色補正専門店【なをし屋】を立ち上げる。

シミを落とすだけでは直らない、変色・退色・脱色した衣類に高度な色修正を施すことによって、限りなく元に近い状態に戻す、三種の国

家資格に認定された、着物や衣類のクリーング・染み抜き・染色補正の専門家・第一人者。

黄ばみ・変色シミ修復のプロ。テレビ・新聞・七緒など各種メディアで染み抜き・着物お手入れの達人として紹介されています。コワくない職人。


着物クリーニング 染み抜きで想いも救う専門店  京都 なをし屋

https://www.naoshiya-kyoto.com/

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