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ドンブリ勘定は危険です!
数字を管理することの意義
2月は1年間の中で最も暇な時期といっても過言ではありません。しかし、個人店の多くの経営者の皆さんは、別の理由で忙しい時期を迎えています。というのも、2月16日から3月15日までは、確定申告の期間を迎えるからです。
確かに、日々、売上高と費用を記帳してさえいれば、数字と格闘することもなく、また、税理士にお任せすれば、骨が折れる思いをすることはありません。
しかし、ものは考えよう。普段あまり触れることがなかった、お店の数字と向き合う大切な時間と考えれば、有意義な時を過ごすことができます。なぜなら、数字こそが、利益や手にする現金を増やす基本になるからです。
少し厳しいことを言わせてもらえば、クリーニング店の経営者の方々は、あまりにも数字を敬遠し過ぎです。数字が苦手だからと言われますが、会計を理解し数字を把握しなければ、十分な利益を確保することも、手にする現金を多くすることもできません。ただ売り上げだけを追い駆けて、利益がおざなりになっているところが多過ぎます。
利益や現金は売上より大切
売り上げは大切です。しかし、それよりも何よりも、利益や手に残る現金こそが一番大切であることに、早く気づいてもらいたい。お店や会社を維持発展させるのは、利益であり、手にする現金であるのですから。だからこそ間違ってほしくないのは、本来売り上げとは、店(フロント)で作るものであり、利益や手に残す現金は、工場(オペレーション)で生み出すものだということです。そして、利益や現金を多く生み出すには、数字を理解する必要があります。数字が苦手だからと言い、いつまでも数字から逃げていては、多くの利益や現金を手にすることはできないと、覚悟して下さい。
さて、まず必要な数字は、洗い場、プレス場といった各ポジションの処理点数を、かかった時間とともに正確にカウントすることです。なぜカウントしなければならないのか?数字は嘘をつきません。そして、数字は他と比較することができるからです。つまり、まずは「現状の把握」をすることが大切。今現在、どこにどのような問題があるのかを探り出すには、全ての処理点数を所要時間とともに、正確に把握する必要があります。そうすれば、どこに問題点があるのかが、より具体的に分かってきます。その問題点が分かりさえすれば、改善策を考えることができます。
例えば、パンツの処理点数をカウントすると、1時間当たりの処理点数が、他と比べて少ないことが分かったとします。パンツに限らず、処理原価で一番ウエイトを占めるのが人件費です。1時間当たりの処理点数が少ないとは、それだけ処理に時間がかかっていることですから、人件費が膨らみ利益を圧迫します。そこで、その処理工程を注意深く観察すると、なぜか余分なプレス工程が行われているではありませんか。
時間にして約10秒。確かにその工程を加えれば、より奇麗に仕上がるかもしれませんが、セットの仕方を工夫すれば、その工程が必要ないことも分かりました。さて、1点につき10秒間です。たかが10秒ですが、されど10秒。