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売上アップスーパーレポート

「仕掛け」の数と質が、業績を決める

株式会社日本売上アップ研究所 代表取締役

中西正人 (なかにしまさと)

 ~時代は未体験の「スタグフレーション」。 同じことの繰り返しは、下がって当然

物価の上昇、可処分所得の減少で消費者の生活は苦しくなってきます。今の日本は、景気が良くないのに物価が高騰。インフレでも、デフレでもない、両方の悪いところが現出した厳しい経済状態=スタグフレーション(stagflation)です。

日本では、1970年代オイルショック後のスタグフレーションは有名ですが、当時は経済のベースとなる人口数が伸びていました。今は、人口数が減っている環境下でのスタグフレーションでで、未曽有の経済状態に入ってきています。

今回は、春の繁忙期を前に、スタグフレーション時代を勝ち残るヒントをまとめてみました。

昔馴染みの畳店様からのヘルプ依頼。でも過去最高益が多数

ある畳店様から、当社所宛に依頼が届きました。

「1月~2月の仕事が薄い(=少ない)ため、この時期の良策があれば、教えてください。この時期に、難しい話で申し訳ございません」

つまり、消費者が寒くて畳を替えたくない時期(=閑散期)に売上を確保したい、というご相談です。返事はこちらです。

「1月~2月は、すぐに売上の上がる取り組みは、何もしないことが多いです。閑散期に新規受注を獲得しようにもお客様は反応しませんので、効率の悪い取り組みとなります。この時期、短期的に売上の上がるような仕組みとしては、12月のうちに受注をこなしきれないほど獲得して、急ぎでないお客様に1月の施工をご提案して仕事を埋める、という方法です。1~2月は長期的な売上アップのために、経営者・幹部は新規の工務店や不動産会社、温泉旅館、ホテル、寺院等を直接訪問して回る。定期訪問的イメージの営業で。スタッフは、新規技術の習得=たとえば、クロス工事ができるようになる、接客の研修を行う、などを行っています」

そのお返事はこちら。

「なかなか難しいですよね。年末受注→新年施行も近年鈍化しており、襖・障子は2月までご予約あるのでありがたいですが、畳工事の方はウッドショック以降さらに難しくなってきました」

その返事に対して、私。

「世の中が厳しい方向に変化していて、それに対してもし例年と同じことをやっているとすれば、年々下がってしまいます。私が訪問している畳店様は、過去最高の年末年始の売上を上げているクライアント先、勉強会メンバーが多数です。12月のチラシの一部タイトルと3か年月別比較の数字実績表を添付しました。クリーム色が2024年です。ご参考までに」

私のクライアント畳店様の多数は、年末このタイプのチラシを配布して、過去最高売上に近い12月実績を収め、1月~2月への持ち越し売上がたっぷりあります。

「チラシの内容・文言が練られていて感心しました。値上げするにも一歩手前でワンアクションあるのは、顧客に響きますね。勉強になりました」

この畳店様は、先代の社長に声をかけていただき、定期コンサルティングに訪問していました。15年ほど前、ご子息への代替わりを機会に、ホームページの管理・制作・更新業務の遠隔サポートに切り替わりました。今も安定成長を続ける地域一番店の前向きな優良企業ですが、通常の取り組みでは通用しない時代となってきているのです。

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過去最高実績・当たるチラシは、こう生まれた

例年「年内・最後のキャンペーン」などのメインタイトルのチラシを、昨年の12月については「値上り直前、お得プライス、最終便セール」としたのです。サブタイトルは、「お米の品切れ&高騰と同様、国産畳が品薄に。来年から値上り確実です」「今、ご予約いただければ、今年の価格・割引にて承ります」「購入をご検討中の方は、お急ぎくださいませ」です。

タイトル=メイン企画の根拠として①産地農家の高齢化と縮小/②作付面積が10年で半分に/③肥料・燃料費の高騰→海外からの評価も高く、国内在庫が稀少に、と記載しています。「コメ不足=農産物の不足」「訪日外国人の増加=ニッポン文化が好き」「物価高=値上りは必然的」という、多くの人の頭の中にある情報要因を、セールタイトルに結びつけたものです。

これにより、12月~1月、過去最高の売上を記録しています。値上げ以降の売上が「反動で大打撃を受けるのではないか?」と気になりますが、次の需要期は4月ごろからなので、3カ月の間に忘れる、またはそもそもチラシを見ていないお客様がほとんどなので、おそらく影響は少なく、効果とダメージを天秤にかけたときに、メリットのほうが大きい、との判断です。

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この記事の著者

中西正人 (なかにしまさと)

株式会社日本売上アップ研究所 代表取締役

株式会社 日本売上アップ研究所 代表取締役


クリーニング店とコインランドリー店の「売上アップ」実務サポートに、圧倒的に強い経営コンサルタント。

一貫して「地域一番店」づくりと「価値」を伝えるマーケティングを展開し、クライアント1社ごと1店舗ごとの状況や強みにあわせて、業績を上げる支援を行っている。


立地診断/競合分析/新規出店/店舗改装/商品政策/チラシ・DM・ポスター等販促ツールづくり/幹部育成/接客手法/HPづくり/SNS販促/戦略・戦術構築等を得意としている。


クリーニング店は、平均年商2100万円以上、役員報酬+営業利益で売上の21%以上、2100年まで永続する店舗づくり。


コインランドリー店は、ミリオンショップ(月商100万円以上)で、投資回収5年以内の店舗づくり。が、代名詞。


略歴

1972年、兵庫県生まれ。県立加古川東高校、同志社大学を経て、1994年、船井幸雄率いる経営コンサルティング会社(株)船井総合研究所入社。


同社にて、クリーニング店・活性化チームを創設し、10年間にわたり、チームリーダーを務める。

2011年「クライアント様の売上を、さらに、ローコストで確実にアップさせることができる専門家集団を作ること」を目的として「(株)日本売上アップ研究所」を創業。現在に至る。


2冊の著書『自分でつくる!90日で売上を1.5倍にするマーケティング計画』・『超実践!繁盛『看板』はこうつくる』(同文舘出版)は、大手書籍通販サイトでも絶賛の良書。

海外でも翻訳出版されている。


自社WEBサイト「クリーニング2100倶楽部」では、週に2度、ブログを更新。

定期的に、購読・閲覧している業界関係者も多い。

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